K氏のこと

お世話になった方(以下K氏)が亡くなりました。

 

 

シルバーウィークに危篤の知らせを受け、会いに行ったのですが、
連休最終日に亡くなられました。

 

 

その方とは、とある教会で出会いました。
いつも優しく模範的な方でしたが、周囲から誤解されることも多い方でした。

 

 

 

ある時、私が鬱で苦しんで、誰をも近づけないような状態になりました。

 

色々な方が見舞いに来ましたが、自分が歓迎されていないのを知ると、
皆それきり来なくなりました。牧師たちも同じ(あるいはより悪い)でした。

 

ああ、利益を得られないともう嫌なんだな、と当時思った覚えがあります。

 

 

 

そんな中、K氏だけは、迷惑がられ嫌な思いをすると知りつつも、
差し入れをもって、悲しそうな笑顔で見舞いに来続けてくださいました。

 

しかも、K氏は当時、自身がガンを患っておられたのです。

 

本来なら、周囲に当たり散らしてもおかしくはないような状態の中、
青白い顔で、全く報われない親切を、奥さまと2人で与え続けてくださったのです。

 

 

 

万事が万事、そういう方でした。

 

 

 

連休の3日間、ご自宅を訪ねることができ、
1日目は、こちらの言葉に、手を握ったりうなづいたりで反応してくれ、
2日目は、反応はほとんどなくなり、
3日目の朝、お亡くなりになりました。

 

 

 

私は、結局、K氏に何も与えられませんでした。

 

 

 

(おしまい)